「グリーンアクティブ」に関する宮台真司のアピール

(12.02.13)グリーンアクティブ記者会見(議員会館)でのアピール文


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「グリーンアクティブ」に関する宮台真司のアピール
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日本はいまだに民主主義の社会ではない。
民主主義を獲得するには政治文化の以下のような改革が必要だ。


〈任せて文句たれる社会〉から〈引き受けて考える社会〉へ
〈空気に縛られる社会〉 から 〈知識を尊重する社会〉へ


日本は非民主主義的な政治文化を背景に官僚天国になった。
官僚天国を抑止できない政治文化が日本をでたらめにした。


他の先進国に比べて公務員数が少ない日本。
他の先進国のどこより福祉予算が少ない日本。


なのに先進国のどこより政府の借金が多い日本。
この不思議な事態をいったい何がもたらしているのか。


他国で常識的な「政策的市場」を形成せず、未だ「補助金行政」を頼るからだ。
言い換えれば国会の審議対象とならない「特別会計」のムダ遣いがあるからだ。


これを変えるには「補助金行政」から「政策的市場」への転換が必要だ。
コスト動機の働かない「補助金行政」をやめるための転換を分り易い言葉で言う。


〈行政にへつらって褒美を貰う社会〉から〈儲けるために善いことをする社会〉へ


これが実現すれば単なる「べき論」は要らなくなる。
淘汰による選別が、自動的に働くようになるからである。


〈任せて文句垂れる〉作法が支配する地域や企業が淘汰されるからだ。
〈空気に縛られる〉作法が支配する地域や企業が淘汰されるからだ。


「政策的市場」が機能する〈儲けるために善いことをする社会〉。
政治と行政はそのためのルールメイカーとルール管理者になる。


だがこのルールメイキングはしっかりチェックされないと不公正なものになる。
既得権益者が自らに有利なルールを、ロビイングや利益誘導で実現するからだ。


そのためには、議会が既得権益者の手打ちの場所であってはならない。
そこで欧州で編み出されたのが、住民投票とワークショップの組み合わせである。


住民投票は、巷間語られるような世論調査による政治的決定ではない。
一年後なら一年後の投票に向けたワークショップ反復による民度上昇が目標だ。


ワークショップでは「本当のこと」を明らかにするために様々な手法が取られる。
例えば「科学の民主化」を中核とする方法(コンセンサス会議)が重要になる。


これは官僚お手盛り有識者会議の如き「専門家による決定」を許さない工夫だ。
専門家の独占知識を市民の共有財産とした上、専門家を廃し市民が決める制度だ。


グリーンアクティブは専門家的知識を市民の共有財産とするプラットフォームだ。
このプラットフォームの上で各市民や各団体が「何が事実か」を共有するのだ。


その意味でこれは狭い価値を共有する政治党派(パーティ)とは全く異なる。
そうでなく、事実を共有した上で各自が価値を発信して合意形成を試みるのだ。


グリーンアクティブは「グリーン」に関心を寄せる者や集団が誰でも参加できる。
「グリーン」について「何が本当のことか」を共有したい者たちの集まりである。


これに参加した上で「グリーン」が本当に守るべき価値なのかを判断してもらう。 
あるいは「グリーン」のためには何が一番大切かという価値を発信してもらう。


こうした民度上昇によって、議会は単なる手打ちの場所であり続けられなくなる。
社会は〈引き受けて考える〉市民による〈知識を尊重する〉知識社会に変化する。


日本が知識社会に生まれ変われば、「グリーン」に限らず日本社会は合理性を取り戻す。

官界や財界の既得権益のせいで「一億総ゆでがえる」状態となるのを抑止できるだろう。

小冊子『熱風』2012年2号の特集は「デモ」
特康 デモ
小冊子『熱風』2012.2

デモのさなか、いろんなことを考える。 (那波かおり)

「デモ」のイメージ小史 (小森陽一

パリのデモから考える (國分功一郎

史上最大の抵抗 (松本 哉)

ウォール街占拠デモ」に引き継がれたデモ文化 (冷泉彰彦

デモ考 (河野太郎


鼎談 いとうせいこう×津田大介×中沢新一
3・11ではっきり意識が変わった。デモで世の中を変えていこう。

新連載 二階の住人とその時代
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小冊子『熱風』 - スタジオジブリ出版部