土に触るな

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【連載】宮台真司の超映画考

【特集 震災異論】
山崎 裕「震災とカメラマン」
相澤虎之助「義を見てせざるは勇なきナリ」
大宮浩一「【前】と【後】 幼い兄妹が駆け抜けて行った」
富田克也「やめろ、土に触るな」
伊勢真一「月命日の死者の名」
安岡卓治「突き刺さる声 ドキュメンタリー映画の仕事」
藤本幸久「囚われの福島」
綿井健陽「恐怖をヴィジュアル化できるか」
樋口泰人ロシア映画アメリカ映画が福島で出会った日」
今関あきよし「今日の出会いに感謝いたします 福島第一原子力発電所

論考:中島一夫「自然災害の狡知 『災害ユートピア』をめぐって」
論考:安川奈緒「『3分11秒の映画』について いくつかの考察」

【日本映画新作】
『サウダーヂ』
座談会:富田克也 相澤虎之助 真辺克彦 向井康介 
論考:手塚敦史「やまなしの水は」 

【鎮魂、映画の昭和】
岡田 茂
「どうぞ、やすらかに」富司純子 
「岡田さんの思い出」降旗康男 
岡田茂……この魅力ある人」野上龍雄 
岡田茂さんのご逝去を悼んで」佐藤純彌 
「最後の活動屋プロデューサー逝く」鈴木則文 
「がおっと吼えて、なあおい!」神波史男 

安藤庄平
「庄ちゃん」小栗康平 
「『遠雷』のラストカット」根岸吉太郎 
「二十七年前の忘れられない日々」和田 誠 
「加藤彰監督と安藤庄平カメラマンのこと」上垣保朗

加藤 彰
「同期加藤彰のこと、いくつか」伊地智 啓 
「去来する撮影所の日々」村川 透 
ソープランドの回数券」岡田 裕 
「半生を尽くした、その仕事」伊藤亮爾 
「わが師匠 加藤彰監督」小沼 勝 
「慕ぶ」中川梨絵

高田 純
「牛かて涙流して泣くんやで……」関本郁夫 
「GSX400Sカタナと共に逝った」生江有二 
「純さんのこと」連城三紀彦

沖山秀子
「喜怒哀楽のドキュメント」森崎 東

長門裕之
インタビュー:津川雅彦
「あきおちゃんのこと」井田 探 
長門裕之さんのこと」吉行和子 
「私が会った役者」秋吉久美子

【追悼】
団鬼六
「西永福のさくらのこと」富岡ただふみ

木村栄文
「ある巨匠の死 テレビドキュメンタリーの虚と実」渡辺 考

いいだもも
「いいだ、ここがロドスだ」小中陽太郎

シドニー・ルメットアーサー・ローレンツ
「相次ぐ訃報にある〈世代〉を偲ぶ」佐藤千穂


7月30日より「映画芸術」436号発売!!: 映画芸術

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早稲田松竹  8/6(土)-8/12(金)まで
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園子温監督特集 〜園子温の家族劇場〜●


紀子の食卓 10:30 / 16:15
冷たい熱帯魚 13:30 / 19:15(〜終映21:45)



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  紀子の食卓
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開映時間 10:30 / 16:15


(2005年 日本 159分 R-15)
■監督 園子温
■出演 吹石一恵/つぐみ/吉高由里子光石研



この世界<ウソ>をナイフで切り裂いてやる。
正視しろ。これが現実<リアル>だ。


紀子は、田舎に住む17歳の平凡な女子高生。家族や学校に飽き飽きして
いたある日、「廃墟ドットコム」というサイトを見つけた紀子は、ハン
ドルネーム「上野駅54」や他の仲間たちと出会い、意気投合。ある停電
の夜、家出して東京へ向かう。紀子はそこで、「上野駅54」が経営する
<レンタル家族>の仕事を始める。


一方、紀子失踪の手掛かりを「廃墟ドットコム」に見出だした妹のユカ
は、秘密をもって東京へ消える。ユカの失踪から2か月後、母・妙子は自
殺。残された父・徹三は、娘2人を見つけ出し、家族のかけらを繋ぎとめ
ようと必死に「廃墟ドットコム」の存在を追うが…。果たして、彼らは
かつての幸せな家族団欒を取り戻せるのだろうか?


“「うちだけは」「絶対に」「なにも起こらない」「平和な」「ホーム
だ」という概念は今、崩れ去り、誰もが少しだけ「うちにも」「いつか」
「もしかしたら」「何かが起こる」のではないかと不安を抱いているは
ずだ。その不安の根は何か。「幸せ」なのに「不幸」が待っていそうな
その不安の原因は何かを探りたかった。年間3万人の自殺者を出す「平和
な戦争のない国」に生まれて、遠い戦争やテロのニュースをテレビを見
ながら「日本に生まれてよかったね」「向こうは怖いね」と言っていら
れたときはもうすでに無く、今、じわじわと見えない「透明な戦争」が
ここかしこでおきつつある。


恐ろしい「透明戦争」の最中に、10代と50代の人間が向かい合う1つ屋根
の下の「食卓」とは、どのくらい熾烈な場所なのか。それを今、徹底的
掲示したかった。これは、現代の日本映画に巣食う「まったりとした」
「平々凡々な」「等身大の」「人を和ませる」「癒したりする」映画で
は決してない。むしろ、その逆である。”
──園子温(『紀子の食卓』プレスより)


スタッフによるレビューはこちらからご覧ください。
早稲田松竹■2011/8/6〜2011/8/12上映作品■園子温監督特集〜冷たい熱帯魚/紀子の食卓


■パンフレット販売未定


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  冷たい熱帯魚
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開映時間 13:30 / 19:15(〜終映21:45)


(2010年 日本 146分 R18+)
■監督 園子温
■出演 吹越満/でんでん/黒沢あすか神楽坂恵梶原ひかり


この素晴らしき世界。


家庭不和を抱えつつもつつましく小さな熱帯魚店を営む社本は、娘・美
津子の万引き事件をきっかけに同業者の村田夫妻と知り合う。巨大熱帯
魚屋“アマゾンゴールド”のオーナーである村田は、社本を強引に自分
の店へと誘った。 「ひとつ、どうです。美津子ちゃんがここで働くって
イデアは?」


翌朝、アマゾンゴールドには美津子の姿があった。継母である妙子が嫌
いだった美津子は、素直に住み込みで働く“新生活”を受け入れていた。
さらに数日後、村田に“儲け話”をもちかけられ呼び出された社本。高
級熱帯魚の輸入を手伝うことになるが、予想もしなかった破滅へと引き
ずり込まれていく。「ボディーが透明になっちまえば何も分かりゃしねぇ
…俺は常に勝つ!」


本作は監督の実体験と、1993年の埼玉愛犬家殺人事件や数々の猟奇殺人
事件からインスパイアされたダーク・ファンタジー。前作『愛のむきだ
し』を<陽>とするならば、本作はまさに<陰>。一見幸せにみえるこ
の素晴らしき世界も、目を凝らすと<死>と<暴力>に満ち溢れている
という事実を、これでもかと我々に突き付けてくる。園子温自ら“最高
傑作”と謳う金字塔作品であると同時に、間違いなく2011年No.1の問題
作である。


“今回は「徹底的に救われない家族」を描いてみました。なんにでも希
望を持たすのはイカンと思うんですよ。ダメなものはダメだと。そのく
らい徹底したほうが活力になる。僕のバイブル映画に『県警対組織暴力
があって、深作欣二作品の中でも特に好きな映画の一つですが、あんな
ふうにブラックな人間洞察に満ちている、どこまでも希望がないんだけ
ど観た後にスッキリする映画を僕も作りたい。今回は上半身が深作欣二
下半身がポール・バーホーベンのような映画を作れたらいいな、と思っ
ていました。”
──園子温(『冷たい熱帯魚』プレスより)


スタッフによるレビューはこちらからご覧ください。
早稲田松竹■2011/8/6〜2011/8/12上映作品■園子温監督特集〜冷たい熱帯魚/紀子の食卓


早稲田松竹映画劇場
東京都新宿区高田馬場1-5-16
TEL 03-3200-8968
http://www.wasedashochiku.co.jp/